高橋里奈『夢のあとに』

【RECOMMEND】
癒しと眠りを誘う珠玉の名曲を集めた、若手実力派ピアニスト高橋里奈、待望の4thアルバム。
ドイツ国立ベルリン芸術大学にて研鑽を積み、日本のクラシック音楽業界に彗星の如く現れた高橋里奈の4thアルバムが完成。
フォーレや、グリーグ、ショパンの夜想曲を中心に、チャイコフスキー、ドビュッシー、リスト、ブラームス、シューベルトなどの子守唄や夜に聴くぴったりのピアノ曲を厳選(人気曲のドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」、シューベルト=リスト「セレナーデ」、グリーグ:「君を愛す」などを収録)。
持ち前の透明度の高い音色と作品一つ一つに寄り添った深い解釈によって、聴けば聴くほど味わいの深まるニューアルバムに仕上がっている。
収録曲
- フォーレ:ノクターン 第1番 Op.33-1
- フォーレ:ノクターン第3番 Op.33-3
- フォーレ:ノクターン第4番 Op.36
- ドビュッシー:「亜麻色の髪の乙女」
- リスト:子守歌 S.198
- ショパン:ノクターン Op.55-1
- チャイコフスキー=ラフマニノフ:「子守歌」Op.16-1
- ラフマニノフ:「デイジー」Op.38-3
- チャイコフスキー:ノクターン Op.10-1
- シューベルト=リスト:セレナーデ S. 560 No. 4
- ブラームス:6つの小品 Op.118-2
- グリーグ:抒情小品集より「メロディ」Op.47-3
- グリーグ:抒情小品集より「夏の夕べ」Op.71-2
- グリーグ:抒情小品集より「ノクターン」Op.54-4
- グリーグ:抒情小品集より「春に寄す」 Op.43-6
- グリーグ:「君を愛す」Op.41-3
- フォーレ:ヴァルス・カプリス 第1番 Op.30
品番:GNRS-0032
音楽評論家 萩谷由喜子(ライナーノーツより抜粋)
前作『ラフマニノフの前奏曲集』から一転して、高橋里奈さんがフォーレのノクターン3曲を基軸に、いずれも繊細瀟洒な味わいを持つリリックなピアノ独奏曲17曲を収めたニューアルバムをリリースしました。
ハーモニーは複雑で音色の表出も大変難しく、曲の魅力を聴き手に届けるのはなかなかに至難です。その難曲を高橋さんは気負いなく自然体で弾き進み、曲の各部に応じたタッチを細かく的確に選択して、移ろいゆくハーモニーの面白さ、そこはかとない旋律の美しさをそっとやさしく伝えてくれました。
そのほかの収載曲も、子守歌、セレナーデ、抒情小品などゆったりとしたテンポの柔和で内省的な作品が選ばれて、統一感のあるリリシズムの世界が築かれました。
技巧を前面に出して聴き手をあっと言わせるような曲は1曲もなく、心の奥襞にしみじみと語りかけてくる作品ばかりです。
こうした性格の曲だけで1集のアルバムをつくることはピアニストにとって難しい挑戦ですが、髙橋さんは持ち前の透明度の高い音色、作品一つ一つに寄り添った深い解釈によって、見事にそれをやり遂げられました。